「へたくそな字たち」① @座高円寺1
観劇は心の安定剤。
気が付けば12月。2018年が終る。平成が終る。
先日、社長に今半に連れていってもらってご機嫌の優です。
「へたくそな字たち」@座高円寺1 前編
※今回のレビューはかなりネタバレが含まれます。これから観る予定で内容知りたくない方はご注意ください。
初めてTOKYOハンバーグという劇団を知ったのは「へたくそな字たち」の再演の時だった。
小劇場をベースとする団体への見方が一気に変わったのを覚えている。
今回、再々演するということを知り、いざ劇場へ。
再演時は確か客席数80くらいの新宿のサンモールスタジオだったと記憶。
今回は200席くらいの座高円寺。
劇場の規模がグッと大きくなっているが・・・あの世界観があのまま伝わってくるのか若干不安だった。
でも、終演時にはそんな不安は全く無用だったことを痛感。
広い舞台は教室に見立てられ、中央に「卒業おめでとう」と書かれた黒板。
舞台上手には街灯がともった電柱。
決して派手ではないし、自己主張もないセット。
でも暖かくて、存在感あって、舞台に溶け込んでいた。
基本的にここの団体の舞台美術はシンプルで美しい。
『先生の家に手紙を送ること』
そんな宿題を教師が生徒たちに出した。
すると目が点になっていたり、眉を八の字にしていたり、やる気に満ちていたり、やる気の欠片もなかったり。
この学校に通う生徒たちは年齢層が幅広く、恵まれない生い立ちの読み書きできない人たち。
『何日かかっても良いから、自分の字を書くこと』
次に教師がそう言うと、ある生徒が呟いた。
『ちゃんと届くかな・・・』
学べなかったことで取り返せない過去があり、生徒たちは自分の書いた字を郵便局の人が読めるかどうか心配でたまらない。
『丁寧に書けば、郵便屋さんはちゃんと届けてくれるよ』
そんな教師の言葉を信じる生徒たちは、学びはじめたことで取り戻せる未来もあったりする。
昼は職場で汗をかき、夜は教室で字を書き、人生においては恥をかき。
夕暮れ時、彼らは今日も屈託のない笑顔で夜間中学に通う。
1989年の弥生、教室の窓から見える夜の運動場
TOKYOハンバーグがみたび織り成す、哀愁人情夜間中学校物語。
様々な理由があり、中学校に行けず読み書きのできない生徒が通う夜間中学校が作品の舞台。
年齢も様々、職業も様々な生徒9人とそれを支える家族、先生の14人で紡ぐ群像劇。
平成最後の年に昭和から平成に元号が変わった年の物語。
座・高円寺1 TOKYOハンバーグ様の舞台『へたくそな字たち』公演祝い楽屋花
【先生たち】
畑野先生
生徒を思い、生徒に寄り添う国語教師にベテラン女優の西山水木さん。
昔の先生ってこんな風だったなぁ・・・と。
厳しいけど優しくて、優しいけど厳しい。
声の色と温度が本当に先生っぽくて。視線やふとした仕草にすごい女優なんだ感。
最後、黒板の文字を見つめるシーン。上演時間120分の物語を思わず回想してしまった。
増岡先生
若い数学教師。畑野先生のように寄り添うとは違う、とにかく全力でぶつかってく感の熱血(とまではいかないけど・・・)先生。
小生意気な生徒、やよいに振り回され翻弄され、それでも何とかしたい感じが好き。
副校長
副校長先生にも「鈴木守」って名前があった(笑)
当日パンフレットでそれを知る。
副校長演じるしゃがれ声の丸尾聡さんが必勝のハチマキをしてジャージでバレーボールする姿は必見。
そうそうお目にかかることはできないです。
オジタリアンと生徒にいじられ、しょげる姿が可愛い。
【生徒の家族】
吉野美紀
夜間学校に通う吉野道郎の一人娘。
母の死をきっかけに父が読み書きできないことを知る。
降板した斎藤洋介氏とのシーンが多い役。
急な配役変更、大変だったんだろうなぁ・・・。
でも、全く不自然さや違和感を全く感じなかったから・・・実は大変ってことはなかったのかな。
嘘です。
変だったに決まっている。それを感じさせないって・・・プロだなぁ。
彼女の甘いけど確固たる意思を持った声が好き。
北野明美
ハンバーグの俳優、小林大輔さん演じる泰久(鳶職)の奥様。
読み書きできない泰久を明るく支える。
読み書きできない彼が世間でどんな辛い思いをして生きてきたかを知るシーンでの決して同情や憐みではない哀しい表情が印象的。
泰久に「やっちゃん」って言うたった一言で彼への愛情が分る。
クリクリした意思の強さを感じる目がとても印象的な女優さん。
読み書きできないって正直、想像つかない。
学校に行って、勉強するのは当たり前のことだった。
でも、それができなかった人は現実にいて、夜間中学校も存在する。
何か月か前、夜間中学の特集をテレビで見た。
この舞台で観たようなことが教室で起こっていた。
字が書けるようになりたい。
計算ができるようになりたい。
学びたいと思って学んでいる人たちは強い。
舞台上の全てのエピソードが切ないけど気持ちが温かくなるし、登場人物全員を愛おしく感じる「へたくそな字たち」。
12日水曜まで、座高円寺で上演しています。
『へたくそな字たち』 #はなしごとのおせつかひ 四劇目
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